一般財団法人日本交通安全教育普及協会

駐車車両の直前直後の横断は危険

事故の概要

金曜日の夕暮れ、小学校5年生のA君は、自転車に乗り自宅から塾に向かっていた。塾に行くには、交通量の多い道路を横断しなければならなかった。その日は月末でもあったためか、向こう側の車線は渋滞のせいで車が数珠つなぎに停車していた。近くの信号が赤であるためか、こちらの車線もしばらく車は走ってこないように思えた。今なら横断できると判断してA君は横断を始めたが、A君には接近してくる乗用車が駐車車両に視界を遮られて見えなかったらしい。乗用車を運転していたBさんは、駐車車両の陰から道路を横断しようとするA君の自転車を認めたが、発見するのが遅かったため、A君の自転車と衝突した。

事故の原因

現場は見通しのよい直線道路であるが、事故発生当時は駐車車両が多かった上に対向車線は渋滞していて、これらの車両の間から自転車や歩行者の横断が予測できる状況であったと言える。このような状況であったにもかかわらず、前方に十分な注意を向けていなかったBさんに責任があると考えられる。また、危険な場所で横断を試みたA君の行動にも事故に巻き込まれる原因があったと考えられる。

この事故から学ぶこと

この事故事例から、道路を横断する時には、安全に横断できる場所を探し、左右の安全を確かめてから横断するという当たり前の習慣が重要なことが示唆される。特に、駐車車両の直前直後の横断は危険である。また、駐車車両が多い道路や、対向車線が渋滞している道路を走行する時は、車両の間から自転車や歩行者が道路を横断する危険を予測しながら走行することが大切である。

No.374 1997年 6月号

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