一般財団法人日本交通安全教育普及協会

夜間の視覚環境に対する認識不足は危険 (夜間の駐車車両追突事故)

事故の概要

午後9時頃、高校生のA君は50ccのスクーターに乗って友人宅に向かっていた。工業地域を通り抜ける見通しのよい2車線道路を走行している時、1台の自動二輪車とすれ違った。暗かったのでよく分からなかったが、友人の自動二輪車のようだった。振り向いて遠ざかる二輪車をよく見たらやはり友人であった。A君が再び前を向いたところ、目前にB車が停車しているのに気づいた。気づくのが遅過ぎたため、A君は何もできずにB車に追突した。

事故の原因

脇見が原因の事故であるのは明らかである。速度をやや出し過ぎていた(40~50km/h)ことも回避操作を間に合わなくした要因であったと考えられる。現場付近は工業地帯のため夜間はやや暗く、平均照度(明るさ)は4.7ルクスであった。障害物を発見するのに最低限度の明るさはあったと考えられるが、道路照明の設備基準による望ましい明るさ(7~15ルクス)よりは暗かった。工場の敷地内にある照明は、駐車車両があった場所までは、届いていなかったようである。道路上の障害物を発見するのにやや悪い条件であり、特別の注意が必要であったにもかかわらず、速度超過の上に不用意に脇見をしたA君に油断があったと言える。

この事故から学ぶこと

夜間は、駐車車両や歩行者などの障害物が発見しにくい視覚環境になっている。このことを忘れて脇見をしたり速度を出し過ぎたりすることは大変危険である。夜間に運転する時は、夜間特有の視覚環境による危険性をよく理解した上で、危険を予測しながら運転することが重要である。

No.375 1997年 7月号

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