一般財団法人日本交通安全教育普及協会

若者による夜間の無謀運転事故

事故の概要

金曜日の夜11時頃、予備校生のA君は友人2人と遊びに出かけ、普通乗用車を運転して国道を走っていた。時速約100kmで緩やかな右カーブに差し掛かったところ、ハンドル操作を誤り、乗用車は歩道を乗り越えて街路樹に衝突した。衝突の衝撃でA君と助手席に乗っていた友人はいずれも脳挫傷で死亡し、後部座席に乗っていた友人も重傷を負った。

事故の原因

A君が速度を出し過ぎていたこととハンドル操作を誤ったことが事故の原因である。若者による交通事故の中には、速度の出し過ぎ等の無謀運転による事故が多いことが特徴である。また、発生する時間帯は夜間(特に深夜)が多い。学校や仕事が終わったあとに、友達や仲間と遊びに出かけ、その途中で事故に遭うことも多い。

この事故から学ぶこと

若者による事故が多い原因として、運転技術が未熟であることがまず考えられる。しかし、車を動かす技術が特に下手な運転者が事故を起こすわけではないようだ。運転免許を取得して1年以内に死亡事故を起こした運転者の教習所での記録を調べた結果によると、これらの運転者は平均的な運転者より技能教習の時限数が短いという。A君の場合も教習所の成績は大変良く、規定の教習時限数(34時限)で卒業しており、仮免と卒検も1回で合格していた。 安全運転態度や危険予測能力など車を動かす技術以外の問題がむしろ重要であることを指摘する専門家も多い。技術的な側面とメンタルな側面の両方の素養を養うことが重要であると考えられる。

No.376 1997年 8月号

一覧へ戻る