一般財団法人日本交通安全教育普及協会

シートベルト非着用で車外放出により死亡した事例

事故の概要

金曜日の真夜中近く、Aさんは助手席にBさんを乗せて雨の高速道路を走行していた。どうということのない直線道路であったが路面が濡れていて滑りやすかったせいか、Aさんがハンドル操作を誤ったのをきっかけに車はスピンを始めた。Aさんは車の姿勢を立て直すことができず、右側ガードレールに車の左前部が衝突、続いて左後部が衝突した。車は衝突の衝撃ではじき返され、本線上に停止した。2人とも車の外に投げ出され、Aさんは頭を強く打って死亡、Bさんも重傷を負った。2人ともシートベルトはしていなかった。

事故の原因

事故発生当時は、夜間であった上に雨が降っていたために、Aさんがハンドル操作を誤ったことが事故の第一の原因と考えられる。加えて、高速道路走行中にもかかわらず、2人ともシートベルトをしていなかったことが事故の被害を大きくした原因であると考えられる。ガードレールに衝突した車の左前部と左後部はかなり破損していたが、キャビンはさほど変形していなかった。2人がシートベルトをしていれば、あるいはもっと軽いケガですんだかもしれない。

この事故から学ぶこと

シートベルトはハンドルやダッシュボードに頭や胸が衝突することを防止する効果と、車外放出を防止する効果を持つ。前席だけでなく後席に座る場合もシートベルトを着用する必要があるし、また、エアバック付の車でもシートベルトは必ず着用しなければならない。JAFの調査によると、シートベルトの着用率は運転席が71%、助手席が57%であるという。シートベルトの着用が徹底されているとはまだ言い難い。シートベルトの効果を正しく理解し、シートベルトの着用をより一層徹底したい。

No.379 1997年 11月号

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