二輪車と四輪車の右直事故
事故の概要
火曜日の夜9時頃、Aさんは乗用車を運転し自宅に帰る途中であった。信号機のある交差点を右折しようとしたところ、対向車(C車)を発見したが、距離が遠かったため右折を開始した。その時、高校生のB君が運転する二輪車が、C車を左側から追い越して交差点に高速で進入して来た。B君は右折中のAさんの乗用車に気づいて急ブレーキをかけたが間に合わず、Aさんの乗用車に衝突した。この事故により二輪車を運転していたB君が死亡し、二輪車の後席に同乗していた友人のD君も重傷を負った。事故現場に残されたスリップ痕と車両の損壊状況から判断して、二輪車の速度は時速130kmと考えられた。
事故の原因
右折を試みた車両と直進中の車両が衝突する事故(このような事故を右直事故と言う)の場合、一般には右折を試みた車両の責任が重い。しかし、この事例の場合、二輪車を運転していたB君が速度を出し過ぎていたことが事故の最も大きな原因と考えられる。B君が交差点直前で先行する乗用車を左側から追い越したことも、右折をしようとしていたAさんが二輪車を発見できなかった原因であると考えられる。
この事故から学ぶこと
交差点で発生する事故形態のうち発生件数が多いのが右直事故である。右直事故では、右折を試みた四輪車と直進して来た二輪車とが衝突するケースが多い。二輪車は車体が小さく、四輪車からは距離や速度の判断が難しい場合があるので注意が必要である。また、二輪車で交差点を直進する際は、自分が対向の右折車からよく見えているかに注意して走行する必要がある。速度を出し過ぎたり、交差点の直前で左側から前車を追い越すことは大変危険である。
No.385 1998年 5月号
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