若者の事故と遺族の悲しみ
事故の概要
夜の11時頃、大学生のA君はアルバイト先から原付に乗って帰宅する途中であった。交差点で信号待ちをした後に発進し、しばらく走行した後、路肩に駐車中のトラックに追突した。A君はこの事故により死亡した。
事故の原因
A君は亡くなっており、事故の瞬間を目撃した人もいなかったので、この事故についての詳しいことは分からない。しかし、事故現場の状況から判断して、A君が前をよく見ていなかったか、何らかの原因で駐車車両に気づいていながら駐車車両を回避する行動がとれなかったかのどちらかであると考えられる。トラックの運転者は、事故発生場所の近くに住んでおり、自宅にトラックを駐車しておくスペースを持っていたが、面倒なので路上駐車していたという。この運転者の不注意な行動も事故の原因になったと考えられる。
この事故から学ぶこと
筆者は、この事故が発生して1年近く経過した後に事故で亡くなったA君のご両親と話しをすることができた。ご両親はA君が事故で亡くなったことをいまだに納得できない様子であった。事故から1年近く経過したが、絶望感や苦しみが薄らいだということはなく、息子さんの死に関して一生苦しみ続けるのではと感じるという。将来のある若者の死は、家族など周囲の人に与える影響が大きい。このような遺族の悲しみが交通安全教育を含めた交通事故防止活動の原点であることを常に意識しておく必要があるだろう。
No.387 1998年 7月号
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