一般財団法人日本交通安全教育普及協会

運転者の視野と自転車事故

事故の概要

平日の午前中、Aさんは乗用車を運転して、交通量の多い大きな交差点を右折しようとしていた。Aさんは、対向して来る大型バスと横断歩道上にいる歩行者に注意を払いながら右折したが、横断歩道を渡ろうとしていたBさんの自転車には気がつかなかった。Aさんの乗用車が、横断歩道に差しかかったときに、Bさんの自転車がすぐ近くまで接近しているのを認知したが、自転車に気づいたのとほとんど同時に衝突した。

事故の原因

Aさんが、右折する先の横断歩道上とその周辺を十分に注意しなかったことがこの事故の原因である。また、Bさんは、Aさんの乗用車を認知していたが、止まってくれるだろうと考えていた。Bさんの判断にも油断があったと考えられる。

この事故から学ぶこと

右折をしようとしている運転者にとって、自分と同じ方向に走っている自転車は、視野の外から自転車が飛び込んでくる感じになるので認知しにくく、右折中にかなり首を回して確認しないと発見できない。自転車が速度を出している場合は、なおさら発見しにくくなる。とくにこの事故例のように、交通量の多い大きな交差点を右折する場合、運転者は、対向車や横断歩道上の歩行者等、多くの対象に一度に注意を向ける必要があるので、よけいに自転車を見落としやすくなるといえる。右折するときは、視線の移動だけではなく、首を回して安全を十分に確認したい。 また、自転車で交差点を直進しようとする際には、進行方向の信号が青であることに安心せず、右左折して来る車に十分注意したい。相手が自分のことを認知していて、止まってくれると安易に考えるのも危険である。

No.400 1999年 8月号

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