斜め横断による高齢者の自転車事故
事故の概要
70代後半のAさんは、買い物に行くために、片側1車線道路を自転車に乗って進行していた。店に行くには、道路の反対側に渡る必要があったので、どこで道路を渡ろうか、思案しながら走行していたが、ふと思い立って後方を確認しないまま、道路を斜めに横断し始めた。ちょうどそのとき、Bさんの運転する軽自動車がAさんを追い越そうとしていたため、Aさんの自転車とBさんの軽自動車は衝突してしまった。Bさんは、Aさんの自転車に、かなり手前から気づいていたが、Aさんが突然横断するとは予測せず、側方間隔をあければ、追い越せると判断していたという。
事故の原因
Aさんが、後方を確認しないで、道路を斜めに横断したことが事故の原因であるといえる。Aさんの自転車を安全に追い越せるだろうと判断したBさんにも油断があったといえる。
この事故から学ぶこと
自転車乗用中に交通事故に遭って死亡する高齢者は、交通事故で死亡する高齢者の約18%を占めている(全年齢では約11%)。高齢者の自転車事故の事故例をみると、一時停止の無視や見落としによる出合頭事故と並んで、斜め横断による事故が多く目につく。安全確認を行わなかったり、交通法規を守らないことが原因で、事故に遭っている高齢者が少なくないようである。事故に遭った高齢者の大部分は、自宅の近くで事故に遭っている。自分がよく利用する経路については、安全確認をすべき場所を整理しておく必要があると考えられる。
No.401 1999年 9月号
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