通り慣れた道路での交通事故
事故の概要
平日の夕方であった。Aさんは、買い物をした後、家路を急いでいた。夕食を作る時間が近づいていたので、Aさんは早く家に着きたかった。いつものように、信号機のない交差点に差しかかった。左から交差点に近づいてくる乗用車を認めたが、走れば横断できると思って横断を開始した。しかし、この乗用車は時速80Kmで走行していたので、Aさんが判断したより早く交差点に近づいてきた。また、乗用車の運転者は、交差点と横断歩道があることにも、横断を試みようとしている歩行者がいることにも気づいておらず、Aさんを発見したのは横断歩道の直前であった。Aさんは乗用車にはねられてしまった。
事故の原因
乗用車の運転者が、前方をよく注意しておらず、Aさんに気づくのが遅れたことが事故の最も大きな原因である。また、速度を出しすぎていたことも、事故に至った大きな原因である。
この事故から学ぶこと
歩行者事故の多くは、自宅近くの道路で発生している。とくに子どもと高齢者は、自宅近くで事故に遭う割合が高く、自宅から2Km以内の事故の割合は、子ども(12歳以下)では90%、高齢者(65歳以上)では82%である。勝手の知った道路だからといって油断は大敵である。 横断できると思っても、この事故のように、接近してくる自動車が自分を認知していない場合は、事故になりやすい。少しでも危ないと感じたら、横断を思いとどまることが大切である。少し待ったとしても、ほとんどの場合、目的地に着く時間はほとんど変わらないはずである。
No.409 2000年 5月号
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