一般財団法人日本交通安全教育普及協会

雨天時のスリップ事故

事故の概要

19歳のAさんは、乗用車を運転して自宅へ帰る途中、片側2車線ある道路の左側車線を走行していた。雨が降っていて、路面が濡れていたが、速度は時速100Km近く出ていた。前方に別な乗用車が走行していたため、この車を追い越そうとして、右側の車線に出た。追い越した後に左の車線に戻ろうとして、ハンドルを左に切ったところ後輪がスリップし、コントロールを失った。Aさんの乗用車は、道路際のポールに衝突した。

事故の原因

路面が滑りやすかったにもかかわらず、Aさんが、速度を出し過ぎていたことが事故の原因である。Aさんの乗用車は、高性能のスポーツカーであったが、前後のタイヤとも、摩耗して溝が少なかった。事故があった場所は、Aさんが毎日通行している道で、いつも同じくらいの速度で走行していた可能性がある。

この事故から学ぶこと

Aさんが、路面状況に対して適切な運転行動をとらなかったことが事故の原因である。いかに高性能な車といっても、タイヤの溝が少なく、滑りやすい路面上において、高速で切り替えしをすれば、スピンしてしまう。最近の車は高性能で、スムーズに走るが、速度を出し過ぎたり、また滑りやすい路面では、危険なことに変わりがない。 人間は、危険が小さくなったと感じると、必要以上に危険に対する認識を甘くするという。自分が根拠のない甘い認識に陥り、知らないうちに、事故につながる運転をしていないかを確認する必要がある。

No.410 2000年 6月号

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