一般財団法人日本交通安全教育普及協会

薄暮時の自転車事故

事故の概要

秋の夕暮れ時、中学生のAさんは自転車に乗り、片側1車線の道路を横断しようとしていた。Aさんは、駐車車両の間から、横断を開始した。ちょうどそのとき、Bさんが運転する普通乗用車が接近してきた。Bさんは、道路の遠方を注視していて、左側から横断を開始したAさんの自転車に気づくのが遅れた。2台は衝突し、Aさんは重傷を負った。

事故の原因

Bさんが、前方の様子を十分に注意していなかったことが事故の原因である。事故が起こったのは、夕方の薄暮時であり、自転車や歩行者を発見しにくい時間帯であった。また、路肩には駐車車両が何台かあり、道路を横断する歩行者や自転車を直前まで発見できないおそれがあった。このような場合は、より慎重な運転をすべきであるが、Bさんは、これらの危険を十分に予測した運転をしていなかった。Bさんが、遠方を注視していたのは、この先の道順を心配していたからだという。 一方のAさんも、車が来ているかどうかを十分に確認しないまま横断を開始したらしい。安全確認を十分に行っていれば、事故は避けられた可能性が大きい。Aさんが、やや斜めに道路を横断しようとしたことも問題がある。

この事故から学ぶこと

薄暮時は、歩行者事故や自転車事故が多発する時間帯である。この時間帯は、明るい部分と暗い部分のコントラスト(明暗の差)が激しく、自動車の運転者は、歩行者や自転車を発見しにくい。このため、薄暮時には、とくに注意して運転する必要がある。また、歩行者や自転車も、自分が運転者に見落とされてしまう危険性を頭に入れて通行すべきである。無理な横断は、とくに危険である。

No.428 2001年 12月号

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