渋滞末尾の追突事故
事故の概要
夜10時過ぎ、Aさんは片側2車線の国道を走行していた。この道路は、交差点が立体化されていて走りやすい道路であった。夜間になり交通量も少なかったので、Aさんは時速約70㎞(規制速度は時速50㎞)で走行していた。緩やかな右カーブを抜けたところ、渋滞のため先行車が停車しているのを発見した。Aさんがあわてて急ブレーキを踏むと、乗用車は横滑りをはじめた。乗用車は中央分離帯に衝突した後、渋滞末尾のトラックに接触して停車した。その直後、Aさんの後方から、Bさんが運転するトレーラーが時速約80㎞で走行してきた。Bさんは、前方で事故が発生しているのを認めて回避措置をとったが間に合わなかった。トレーラーはAさんの乗用車の後部に激しく衝突し、Aさんの乗用車は大破した。
事故の原因
AさんとBさんが、制限速度を超過して走行していたことと、前方の様子を十分に注意して運転していなかったことが事故の原因である。事故発生場所は、緩やかな右カーブの出口付近であり、前方の様子を確かめにくい場所であった。渋滞の末尾は陸橋の頂上付近にあり、見通しが悪かった。事故が発生したのは夜間であり、先行車が停車しているか、走行しているかの判断は難しかったと考えられる。事故当時は、このような悪条件が重なっていたわけで、このような状況下では、前方の様子を十分に注意して、制限速度内で走行すべきであったが、2人とも状況判断が甘かったと言える。
この事故から学ぶこと
交通が閑散で走りやすい道路では、制限速度を超えて走っても安全であると思い込みやすいが、見通しが悪い区間に入ったり、渋滞などの思いがけない事態が発生すると、高い速度では対処できない。また、速度を出し過ぎていると衝突時の衝撃が大きくなり、被害が大きくなりやすい。安易に速度を出さず、制限速度を守って走行すべきである。
No.429 2002年 1月号
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