一般財団法人日本交通安全教育普及協会

自転車の一時停止と安全確認

事故の概要

平日の午後、Aさんは配達のため小型トラックを運転して裏通りを走っていた。配達時間に遅れそうだったので、制限速度を超える速度で走行していた。Aさんは、前方に信号機のない交差点を認めたが、交差する道路は狭い道路であり、Aさんが進行している道路のほうには一時停止の規制はなかったので、Aさんは速度を落とさず交差点を通過しようとした。Aさんが交差点に進入したとき、左側からBさんの乗った自転車が交差点に進入してきた。Aさんは急ブレーキを踏んだが間に合わず、2台は衝突した。この事故によりBさんは頭を強く打って死亡した。

事故の原因

交差点には横断歩道があり、横断歩道が近いことを知らせる路面標示もあった。また、交差点手前には駐車車両があって、Aさんからは交差点左側がよく見えなかったと考えられる。歩行者や自転車に対処できるように、いつでも停止できる速度で交差点に接近するべきであったにもかかわらず、速度を出したまま交差点を通過しようとしたAさんの判断が、事故の原因になったと言える。 一方、一時停止の標識と標示があったにもかかわらず、一時停止をせずに交差点に進入したBさんの行動も事故の原因であると言える。

この事故から学ぶこと

自転車は、自動車と衝突したときの被害が大きくなりやすく、低い速度の事故でも死亡事故になることがある。自転車事故の事例を見ていると、自転車の信号無視や一時不停止、後方の安全確認をしないままの斜め横断により発生した事故が多い。道路を横断するときの一時停止と安全確認は、自転車に乗る人が常に守るべき最低限のルールである。

No.442 2003年 2月号

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