一般財団法人日本交通安全教育普及協会

速度と位置の判断ミスによる右直事故

事故の概要

平日の夜、Aさんは乗用車を運転し、右折レーンのある交差点を右折しようとしていた。前方から、接近してくる二輪車のヘッドライトを認めたが、二輪車の走行位置は交差点から遠く、自分が先に右折できると判断し、Aさんは右折を開始した。ところが、この二輪車は、Aさんが考えていたよりも早く交差点に接近してきた。Aさんは危険を感じてブレーキを踏み、二輪車を運転していたBさんも、Aさんの四輪車に気づいてブレーキを操作したが間に合わず、2台は衝突した。

事故の原因

Aさんが、接近する二輪車の位置と速度に関する判断を誤ったのが事故の原因である。一方、乗用車は自分が交差点を通過してから右折する、と判断していたBさんのほうにも油断があったと言える。

この事故から学ぶこと

衝突する相手を認知していながら、速度や位置に関する判断を誤り、事故になるケースが少なくない。夜間は、背景との関係を手掛かりにして、相手の速度や位置を判断しにくいため、速度や位置に関する判断が難しくなる。手掛かりが乏しい場合に陥りやすいのは、自分の都合のよい判断をしがちなことである。すなわち、交差点を早く右折したい、あるいは、道路を早く横断したいと考えていると、接近してくる相手の速度を実際より遅く、あるいは、相手の位置を実際より遠くに判断しがちである。速度や位置の判断が難しい状況下では、自分に都合のよい、安易な判断をしないように自戒すべきである。

No.455 2004年 3月号

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