一般財団法人日本交通安全教育普及協会

高齢者と若年者の運転スタイル

事故の概要

平日の昼ごろ、75歳のAさんは神社に参拝に行くために、片側2車線の道路を乗用車で通行していた。交差点を右折しようと、右折レーンに入り、速度を落として交差点に接近した。対向の車両が途切れたので、Aさんは右折を開始した。このとき、前方から二輪車が直進してくるのをAさんは認めていたが、十分に右折可能である、とAさんは思った。ところが、この二輪車はAさんが考えていた以上の速度で、交差点に接近していた。2台は交差点の中央付近で衝突し、二輪車を運転していた大学生のBさんが重傷を負った。

事故の原因

乗用車を運転していたAさんが、対向車の速度と距離に関する判断を誤ったことが事故の原因である。また、二輪車を運転していたBさんが速度を出し過ぎていたことも、事故の原因であると考えられる。Bさんは、時速約80㎞で二輪車を運転していた。この道路は時速50㎞に規制されていたが、この道路の車の流れは時速65㎞程度であったという。

この事故から学ぶこと

高齢運転者は、速度を出し過ぎることは少ないが、とっさの判断や行動が苦手な傾向にある。一方、若年運転者の場合、素早く行動することが得意であっても、速度を出し過ぎる傾向があるようだ。このように、高齢者と若年者では運転スタイルが異なるが、運転スタイルの異なる人同士が、同じ道路を走ると事故が発生しやすくなる、との意見もある。大事なことは、道路上にはさまざまな運転スタイルの人がいる、ということを頭に入れておくことである。相手は自分と同じように行動するはずだ、と思い込んでいると、思わぬ事故に遭うことがある。

No.463 2004年 11月号

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