一般財団法人日本交通安全教育普及協会

友人のスクーターを追い越した直後の転倒事故

事故の概要

土曜日の夜、A君は二輪車を運転し、片側1車線道路を通行していた。A君が右カーブに近づいたところ、前方に女友達のBさんのスクーターが走行しているのを認めた。A君はカーブの手前でBさんのスクーターを追い越し、カーブを通過しようと考えた。A君はスクーターを左側から追い越し、カーブに進入した。しかし、A君が考えた以上にカーブはきつかった。A君がカーブの途中でブレーキをかけたところ、二輪車は転倒し、A君と二輪車はガードレールに衝突した。

事故の原因

A君が速度を出し過ぎてカーブを曲がろうとしたことが事故の原因である。事故のあったカーブの区間では、最高速度が時速30㎞に規制されていた。A君は、友人のBさんに、自分が高速でカーブを曲がる姿を見せてやろうと考えたようである。このような自己顕示的な心理が、危険な運転につながったと考えられる。

この事故から学ぶこと

二輪車でカーブを通過するのは、細心の注意が必要である。カーブの手前で十分に減速し、適切な走行位置と経路を選択して、体重移動で車体を傾け、アクセルを操作しながらカーブを通過していく。カーブを安全に曲がれる速度の範囲は狭く、少し速度が高いだけでもカーブを曲がりきれないことになってしまう。これらの判断と操作は、落ち着いた精神状態で行う必要がある。自己顕示的な気持ちや、他の車両等へのイライラや攻撃的な気持ちがあると、高い速度が選択されやすくなり、思わぬ危険な目に遭うことになる。

No.471 2005年 7月号

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