一般財団法人日本交通安全教育普及協会

高速道路のトンネル内における追突事故と車両火災

事故の概要

平日の夜間、運転手のAさんは、大型貨物車を運転して高速道路を走行していた。トンネルに進入したとき、前方に渋滞のため車が停止しているのに気がついた。Aさんは、急ブレーキとハンドルを切って回避しようとしたが、間に合いそうもなかった。貨物車はトンネルの右側の壁に衝突した後、渋滞の車列の最後尾にいたBさんの乗用車に衝突した。Bさんの車は押し出されて、停車していた3台の大型貨物車に衝突する多重事故となった。衝突の衝撃で火災が発生した。この事故により乗用車に乗っていたBさんが死亡した。

事故の原因

Aさんが、前方を十分に注意していなかったことがこの事故の原因である。Aさんはぼんやりしていて渋滞の車列に気づくのが遅れたという。事故の直前に脇見をしていたとか、疲労していたなどのことはなかったという。なお、現場は4%の下り勾配であった。

この事故から学ぶこと

高速道路において発生する事故のうち、追突事故が65%を占め最も多い。追突の原因は、ぼんやりしていた、雨でスリップした、ラジオを操作していたなどさまざまである。追突事故の中には、この事例のように多重事故となったり、車両火災が発生する場合も少なくない。とくにトンネル内でこのような事故が発生すると、消火作業がしにくいこともあって被害が大きくなりやすい。この事故例でも消火に2時間近くかかっている。高速道路は安全で快適な道路であるが、少しの気のゆるみが重大事故につながることもある。油断しないで運転したい。

No.399 1999年 7月号

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