一般財団法人日本交通安全教育普及協会

自転車乗用中の高校生が歩行者を死亡させた事故

事故の概要

日没直後で、まだ明るい時間、高校生のA君は、友人を後ろに乗せて片側2車線以上ある幅員の広い道路を走っていた。交差点を通過したとき、前方に横断中のBさん(71歳)を発見したが、自分が先に通過できるか、あるいは、Bさんが止まって自分を先に通してくれると思い、そのまま進行したところ、Bさんと衝突した。Bさんは、転倒し死亡した。

事故の原因

A君が、Bさんを発見したときに、速度を落とすなどの措置をとらなかったことが事故の原因である。

この事故から学ぶこと

自転車の場合、自動車や二輪車と衝突して自転車の乗員が怪我をしたり死亡する事故が圧倒的に多い。しかし、この事例のように自転車が歩行者と衝突し、歩行者を負傷させたり死亡させてしまう事故も発生している。最近4年間だけでも、約2,400件の人身事故(うち死亡事故は14件)が発生している。事故の内容を調べると、中学生あるいは高校生の運転する自転車が、高齢者の歩行者と衝突し、高齢者が死亡する事故が大部分を占めている。中学生や高校生の中には、危険な自転車の乗り方をする者が少なくないが、危険な乗り方をしていると、車に衝突して自分自身が痛い目に遭うだけではなく、ときには人を傷つけることもある。相手を死亡させた場合は、当然、賠償責任が課せられることになる。危険な自転車の乗り方をしていると、死亡事故の加害者になりうることを十分に認識させたい。

No.406 2000年 2月号

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