一般財団法人日本交通安全教育普及協会

高齢運転者の右直事故

事故の概要

平日の夕方、66歳のAさんは、会社の車を運転して、得意先に向かっていた。目的地まで、あと少しという交差点に接近し、Aさんは、右折のために右側車線に移った。この車線は、直進と右折の混合車線であった。Aさんの前に、2台の乗用車が右折待ちで待機していたが、前の2台が右折を開始したので、Aさんは、2台に続いて右折を開始した。ちょうどそのとき、Bさんが運転する乗用車が、時速約70㎞の速度で、対向車線を直進してきた。双方は互いに相手を認め、急ブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。

事故の原因

Aさんが、対向車をよく確認せずに、右折を開始したことが事故の原因である。事故が発生した道路は、右折車線と左折車線を含めて片側4車線ある広い道路で、交通量も多かった。Aさんは、対向車線の様子にとくに注意しながら、慎重に右折すべきであった。この交差点は、見通しがよく、対向車線の様子は十分確認できたはずだった。また、Bさんが、やや速度を出し過ぎていたことも、事故の原因となったと考えられる。Bさんも仕事中であり、先を急いでいたという。

この事故から学ぶこと

交差点での右直事故は、高齢運転者に多い事故形態である。この事例のように、安全確認が明らかに必要な場面であるにもかかわらず、ぼんやりと右折し事故になる事例が多い。いつも通りなれている道であり、これまで危ない目に遭わなかったからといって、油断するのは危険である。

No.424 2001年 8月号

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