一般財団法人日本交通安全教育普及協会

単独事故で同乗者が死亡

事故の概要

会社員のAさんは、会社の同僚と飲食店で酒を飲んだ後、自分の車を運転して、別の店に行こうとしていた。規制速度が時速40㎞の道路を、Aさんは時速約100㎞で走行していた。緩やかな右カーブに差しかかったとき、このままの速度ではカーブを曲がりきれないと感じ、Aさんは慌ててブレーキを踏んだ。すると、車は横滑りをはじめた。Aさんは、車を立て直そうとしたが、乗用車はそのまま横滑りを続け、駐車車両に衝突した。この事故により、助手席に乗っていたBさんが死亡し、Aさんも重傷を負った。

事故の原因

Aさんが、速度を出し過ぎていたことが事故の直接の原因である。規制速度を大幅に超過する速度を出していたのは、酒を飲んで、気が大きくなったせいもあるらしい。また、飲酒の影響により、判断と操作が遅れた可能性も大である。さらに、2人ともシートベルトを着用していなかった。

この事故から学ぶこと

この事故では、速度超過、飲酒運転、シートベルト非着用と、死亡事故が発生する条件が重なっている。これらの行為の危険性を、改めて説明する必要はないだろう。この事故のように、単独事故で同乗者が死亡した場合、運転者であるAさんが加害者になり、助手席のBさんは被害者になる。Aさんは、自分の責任で、会社の同僚を死なせてしまったわけである。飲酒運転で単独事故を起こした場合、自分や同乗者の損害は、自動車保険からは支払われない。Aさんにとっては、悔やんでも、悔やみきれない事故であろう。

No.431 2002年 3月号

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