一般財団法人日本交通安全教育普及協会

交通事故・違反の多発者による事故

事故の概要

金曜日の夜、Aさんは、片側2車線の道路を走行していたが、道を間違えたことに気づいた。交通量は少なく、転回禁止の場所ではなかったので、Uターンをしようと考えた。Aさんは、後続車があるのは認知していたが、遠くに見えたため、後続車が来る前に転回できると判断し、Uターンを開始した。ところが、後続車は、時速100㎞くらいの速度を出しており、Aさんが予想したよりはるかに速いスピードで接近してきた。後続車を運転していたBさんは、Uターン中のAさんの乗用車を認め、急ブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。

事故の原因

Bさんがスピードを出しすぎていたことが事故の原因である。この道路の規制速度は時速40㎞であったから、大幅な速度超過であった。一方、後続車が接近する前にUターンできると判断したAさんの判断にも甘さがあったと言える。なお、Bさんは、四輪車の免許を取得してから2年半が経過していたが、この間、4回の交通違反と1回の人身事故の経験があり、運転免許の停止処分を2回受けていた。

この事故から学ぶこと

著者が、事故や違反を繰り返す人を調べた結果によると、事故を経験した人の大多数は、事故を起こしたことを後悔し、二度と事故を起こしたくないと真剣に考えている。しかし、事故後の運転行動を調査すると、再び事故や違反を繰り返している人が多い。本人が事故を起こしたことを反省していても、運転行動は簡単に改まらないのが現実である。事故を起こした人に対して罰則を強化するだけでは不十分である。個人指導を行って、運転に関する問題点を個別に修正する再教育プログラムが不可欠である。

No.447 2003年 7月号

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