一般財団法人日本交通安全教育普及協会

サンキュー事故

事故の概要

午後7時ごろ、乗用車を運転していたAさんは、片側1車線の国道から脇道に右折しようとしていた。対向車があったので、しばらく道路の中央付近で停止していたが、対向車の1台が減速し、進路を譲ってくれた。これを見たAさんが右折を開始したところ、対向車の左側から原付が直進してきた。双方の運転者ともブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。原付を運転していたB君は転倒し、腕の骨を折るなどの重傷を負った。

事故の原因

対向車が進路を譲ってくれたのに安心し、Aさんが安全確認を十分せずに右折を開始したことが事故の原因である。また、速度を落とした乗用車を左側から追い越し、前方の様子を十分注意せずに乗用車の前に出た、B君の判断にも問題があったと言える。

この事故から学ぶこと

このタイプの場合、右折車と二輪車は、お互いに死角に入っているため、衝突の直前までお互いを認知できない。したがって、次の状況を予測しながら運転することが事故を防ぐ手段となる。この事例は典型的なサンキュー事故であり、教習所などでも教えられているため、知っている人も多いと思う。しかし、実際の運転では、常に予測が働かなければ事故を避けることはできない。急いでいたり、考え事をしていたりすると、わかっていたはずの事故に巻き込まれることになる。危険予測を有効に働かせるためには、平常心で運転することが重要である。

No.448 2003年 8月号

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