一般財団法人日本交通安全教育普及協会

横断禁止場所での歩行者事故

事故の概要

平日の夕方、Aさんは乗用車で片側1車線の道路を走行していた。市の中心部に向かう反対側の車線は渋滞していたが、Aさんが通行していた下り方向の車線は、順調に流れていた。Aさんが、渋滞している車両の横を通過したとき、道路を横断しようとしていたB君が、車両の間から急に現れた。Aさんは回避措置をとる間もなく、乗用車とB君は衝突した。

事故の原因

事故があった道路では、歩行者の横断が禁止されていた。近くに歩道橋もあった。このような場所で、渋滞車両の間から横断を試みたB君の判断ミスが事故の原因である。事故が発生した場所は、横断禁止場所であるにもかかわらず、歩行者や自転車の横断が比較的多く、すぐ近くには、学校や学習塾がある。このような場所を通行するときに、歩行者の出現を予測していなかったAさんのほうにも油断があったと言える。

この事故から学ぶこと

歩道橋や信号機が近くにあっても、早く横断したいと考え、安易な横断を行いがちである。安易な横断は、危険な横断となる場合がほとんどである。危険な横断をしやすい場所と、危険な横断の方法には典型例があるので、危険な場所と危険な例を具体的に示した上で、安全な横断方法を指導したい。子どもが危険な横断を日常的に行っている場所がないかを、時々点検することも重要である。また、平日の夕方は、歩行者の飛び出し事故が多発する時間帯である。自動車を運転する人は、歩行者の急な出現を意識しながら、運転する必要がある。

No.449 2003年 9月号

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