高齢者の急な右折による原付の事故
事故の概要
平日の昼間、Bさんは乗用車を運転し、片側1車線の道路を走行していた。T字交差点に接近したところ、交差点内の左側に運転者が乗った原付が停止しているのを認めたが、青信号であったため、Bさんはそのまま直進しようとした。Bさんが原付に接近したところ、この原付が発進し、右折するため、Bさんの乗用車の前を横切ろうとした。Bさんは慌てて急ブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。
事故の原因
原付を運転していたAさんは、乗用者の接近を全く認知していなかった。Aさんが後方をよく確認しないで、このT字交差点を右折しようとしたことが事故の原因である。また、この交差点には二段階右折の規制はなく、Aさんも二段階右折をする交差点ではないことを認識していたという。
この事故から学ぶこと
最近では、四輪車の運転中や同乗中に事故に遭う高齢者が増加しているが、原付や自転車などを移動の手段として利用する高齢者も相変わらず多く、事故が多く発生している。この事故の当時、Aさんは80歳近かったが、運転経験が30年以上あるベテランで、仕事などで原付を毎日運転していたという。 運転経験が長い人の場合、本人が意識しないうちに、危険な運転行動が日常的になっている場合が往々にしてあり、専門家による安全運転の点検を、時々受ける必要がある。適当な機会がなければ自分自身や周りの人による点検でもよい。交通法規に従わない運転や、安全確認の省略は、重大な事故につながるのでとくに注意が必要である。
No.451 2003年 11月号
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