携帯電話の通話中に発生した事故
事故の概要
平日の午前中、Aさんは普通貨物車を運転し、片側2車線の国道を走行していた。運転中に携帯電話に着信があり、Aさんは通話をしたまま運転を続けた。左折する予定の交差点が近づき、Aさんは通話したまま、左折を開始した。Aさんは、横断歩道と自転車横断帯の前で停止し、左右の安全を確認してから車を発進させた。しかし、このとき、Aさんは、右方向から横断中のBさんの自転車を見落としていた。貨物車が発進した直後に、Bさんの自転車と貨物車は接触したが、このときAさんは、自転車と事故になったことを全く認識していなかった。
事故の原因
貨物車を運転していたAさんが、横断歩道と自転車横断帯を通過する前に、安全確認を十分に行わなかったことが事故の原因である。安全確認が不十分になった原因は、Aさんが携帯電話での通話に気を取られていたからである。また、Aさんは左手で携帯電話を持って通話していたから、片手運転で左折していたことになる。
この事故から学ぶこと
運転中に携帯電話を使用すると、運転に対する集中力が低下し、前方不注意や認知の遅れなどの危険な状況に陥りやすい。運転している本人は軽視しがちであるが、運転のパフォーマンスは確実に低下している。運転の前には、携帯電話の電源を切るか、ドライブモードなどにするべきである。 残念ながら、運転中に携帯電話を使用することの危険性を理解しない運転者も少なくない。自転車や歩行者は、相手の運転者が携帯電話を使用していて自分の方を注視していないことを発見したら、横断を中断するなどの、防衛的な行動を取る必要もある。
No.461 2004年 9月号
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