一般財団法人日本交通安全教育普及協会

飲酒運転のさまざまな危険性

事故の概要

日曜日の夜、Aさんは友人4人を乗用車に同乗させ、片側1車線道路を走行していた。Aさんたちは皆で飲食に出かけ、店を出た後に移動する途中であった。Aさんを含めて全員が飲酒をしていた。左カーブにさしかかったとき、Aさんはカーブの曲率の判断を誤り、カーブの途中で急なハンドル操作をしたため、Aさんの乗用車は横滑りし、路外にあった人家の石垣に衝突した。この事故によりAさんは重傷を負い、同乗の4人が死亡した。

事故の原因

飲酒運転が事故の原因である。加えてAさんは、最高速度が時速40㎞に規制されていた道路を時速約70㎞でカーブに進入したと考えられる。また、Aさんを含めてすべての乗員がシートベルトを着用していなかった。

この事故から学ぶこと

アルコールは、たとえ微量であっても運転に必要な認知や判断に悪影響を及ぼす。酒を飲むと気が大きくなり危険な行動を取りやすくなるなどの人格や行動面での影響や、居眠り運転を生じやすくさせるなどの影響もある。また、アルコールは依存性が高い物質であり、一度、飲酒運転の習慣が身につくと、飲酒運転を自分の意志でやめることが難しくなるという問題もある。 罰則の対象となるアルコール濃度が引き下げられてから、飲酒に関係した事故は減ったものの、昼間の飲酒事故は減っていないなど、日ごろから飲酒運転をしている運転者は減少していないことを示唆する事故データもある。飲酒運転の習慣化を防ぐために、飲酒運転につながる意識や行動の芽を摘む教育や活動が重要である。

No.475 2005年 11月号

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