初心運転者の速度超過による事故
事故の概要
大学生のAさんは、休日の深夜に友人を助手席に乗せてドライブに出かけ、明け方近くに帰宅する途中であった。Aさんは、片側1車線の道路を時速約70㎞で走行し、左カーブに接近した。Aさんは、このくらいの速度なら十分に曲がり切れると思ってカーブに進入したところ、対向車が現れた。この対向車は、普通に対向車線を走行していたのだが、Aさんは対向車の出現に動揺した。動揺したAさんが、とっさにハンドルを左に切り足したところ、Aさんの乗用車は左を向いて横滑りをはじめた。Aさんは横滑りを止めることができず、乗用車は道路外の構造物に衝突して停止した。
事故の原因
対向車の出現に動揺したAさんが、不適切なハンドル操作を行ったことが、事故の直接の原因であるが、乗用車の速度が高かったために、乗用車は横滑りしたと考えられる。したがって、Aさんが速度を出し過ぎていたことが事故の原因と考えられる。事故のあった道路の規制速度は、時速40㎞であった。Aさんは、3か月前に免許を取得したばかりであった。
この事故から学ぶこと
初心運転者による事故は、夜間の事故、速度超過による事故、単独事故などが多いのが特徴である。初心運転者の事故は運転技術の未熟が原因で発生すると、よく言われるが、これは正確な説明でないのかもしれない。より詳しく言うと、初心運転者は、法規を守って運転していれば、事故を起こさないだけの技術は持っているのだが、わざわざ危険な運転をする傾向や、判断や見通しが甘い傾向があるために、こうした事故を起こしやすいのだと考えられる。初心運転者の考え方や行動の誤りを、理屈で理解させることも、初心運転者に対する大切な教育方法だと考えられる。
No.478 2006年 2月号
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